やわたはま地方創生ちゃんねる

マーマレード部長の徒然日記

スナックからの地方創生

スナック。お菓子のあれではなく、夜のあれであります。

 

先日、数年来お世話になっている首都大学東京の谷口功一教授に、やわたはまにお越しいただき、「スナックからの地方創生」と題して、講演していただきました。先生のご専門は法哲学で、近年は移民問題について研究されているそうですが、その傍らサントリー文化財団からの助成で、アカデミックな観点からスナック研究に取り組まれています。アカデミックな観点とは、スナック誕生の経緯や歴史的な変遷、法的な位置付けやコミュニティ的な意義などです。興味がある方は、ぜひ

日本の夜の公共圏 - 白水社

をご覧ください。

 

講演内容ですが、現在執筆中の内容を含むということで直接は転載できませんが、要点だけ。

 

・ やわたはまは、県内市町のうちでスナック数(人口当たり)2位と優等生。件数は減少傾向だが、オンラインでのみ登録する業者もとみに増加していることから、数の把握が困難化していることにも起因するとの由。(なお、松山は、総数が全国18位と凄まじく多いようです。)

・ スナックは、「水平化」(酒席では社会的身分がフラットになる)、「防犯情報共有」、「(教会的)カウンセリング」(愚痴や告白の場)などの社会的機能を有する。東日本大震災後にスナックの復旧を希望する声も多かったとのこと。

・ スナックは「ヒト消費」の典型であるため潰れにくい(価格差や物質的機能差による淘汰が起きない)。

・ ①風俗と切り離された水商売、②カラオケ、③ボトルキープ(サントリーが発明)という「日本発の混合」という文明的価値を有し、今後は、「高齢者の憩いの場」や「コミュニティ志向の若者の起業の場」として変容していく萌芽が見られる。

headlines.yahoo.co.jp

 

現状では、水商売という形態である以上、女性や若者を包摂するコミュニティとしての機能までを託すことはできませんが、社会面・ビジネス面でも、学ぶべき点は多かったです。特に震災以降、「絆」に焦点を当てた言説が増えていますが、都心部と地方部で画一的な議論がなされていることに危惧を致します。スナックも、都市部と地方部では、ユーザー層や既存のコミュニティ構造が違うという点において、異なる役割を担っている可能性もありますがどうなのでしょうか。

なんにせよ、人間は弱い生き物であり、何らかの社会的クッションが不可欠です。スナックから、改めて人間社会の在り方に思いを馳せる良い機会となりました。

ダルメイン世界マーマレードアワード&フェスティバル日本大会

 

2019年5月12日~19日、八幡浜市において、日本初となる「ダルメイン世界マーマレードアワード&フェスティバル日本大会」を開催します。今日は、この大会について紹介したいと思います。

 

【イギリス大会の誕生】

「ダルメイン」とはイギリスの湖水地方・ペンリス市にある地域の名称です。この大会は、ダルメインにて2006年から開催されている、マーマレードの品質を競うコンテストで、初年度には約20瓶しかなかった出品が、今では世界40か国から3000を超えるほどの大きな大会になりました。

イギリス人にとってマーマレードは朝食に欠かせない一品ですが、家庭ごとに一子相伝の味付けがあるそうで、日本人にとっての漬物のようなものだとも言われます。主催者のジェーン・ヘーゼル・マコッシュ氏の「各家庭に伝わるマーマレード一つ一つに光を当てたい」との願いを嚆矢として、この大会が誕生しました。

 

【日本大会の経緯】

イギリス大会が順調に成長を遂げる中で、日本でも少しずつこの大会が浸透していき、日本のジャム・マーマレード生産者による出品が増えました。イギリスではマーマレードの材料となる柑橘は育たないため、イタリアやスペインなどから輸入したセヴィルオレンジという柑橘を用いて調理するのが基本です。

翻って日本では、全国で様々な種類の柑橘が育つため、マーマレードのバリエーションも豊富、しかも味付けが繊細で上品だということで、日本人の金賞受賞者が増えていきます。これに気付いたイギリスの主催者側が、既に3年前から開催しているオーストラリアに続き、日本でもこの大会を開催してはどうかという思いを持つに至ったようです。その話を聞きつけた当市の金賞受賞者が、市役所に誘致活動をしてはどうかとお話に来られ、行政として正式に招致の意向を主催者に伝えました。その後、駐英日本大使館をはじめとする多くのサポートもあり、正式に八幡浜市での開催が認められました。

 

【大会の概要】

職人(プロ)の部とホームメイド(アマチュア)の部に分かれて、事前に出品を受け付け、審査により金・銀・銅賞を決定し、イベント当日に表彰式を実施します。一般向けに販売をしている方は職人の部、それ以外の方はホームメイドの部への出品となります。

審査員は、イギリス大会の審査員と日本人審査員の混合で計10名程度を予定しています。第一回目の日本大会ですから、審査員編成は大変重要であると考えております(正式発表をお待ちいただきたいと思います)。

この大会はチャリティーイベントです。出品料を頂きますが、ホームメイドの部の出品料はイギリス大会同様、全額慈善事業に寄附させていただきます。今年は豪雨災害もあり、被災地への寄附を検討しています。八幡浜市では幸い人的被害はなかったものの、土砂崩れによる家屋全壊や農地崩壊など現時点で32億円を超える被害が発生しました。このマーマレード大会は、八幡浜市だけでなく、被災した全ての方にとっての復旧・復興のためのイベントでもあるのです。

当日は、マーマレードなどの料理関連イベントなどはもちろんのこと、日英文化体験や、柑橘について深く知っていただく着地型観光メニューなども用意し、日本や世界からの観光客に、柑橘やマーマレードについて知っていただき、八幡浜ブランドを広めるきっかけにしていきたいと思います。

 

【今後について】

10月13日(土)には阪急うめだにおいて、ミニ・マーマレードコンテストを実施します。またマーマレードの出品は2月から開始する予定です。詳しくは、こちらの公式HPにて随時掲載していきますので、チェックをお願いします。また、運営資金調達のため、こちらにおいて、ふるさと納税クラウドファンディングも実施しておりますので、趣旨にご賛同いただける方のご協力をお願いし申し上げます。

プロアマ問わず、多くの皆様からの出品をお待ちしております。また、来年の5月18~19日には、是非愛媛県八幡浜市まで遊びに来ていただけますと幸いです。

 

★ダルメイン世界マーマレードアワード&フェスティバル日本大会クラウドファンディングふるさと納税についてご協力お願いします★  https://www.furusato-tax.jp/gcf/349

日本有数のみかん産地「八幡浜」からの地方創生への挑戦

【はじめに】

皆様はじめまして。愛媛県八幡浜市役所で企画財政部長を務めています今岡植(いまおかうえき)と申します。2017年7月に、財務省からの出向で八幡浜市に参りました。まず、平成30年7月豪雨で犠牲になった皆様にご冥福をお祈りし、被害に遭われた皆様にお見舞いを申し上げます。当市においては、幸い人的被害はなかったものの、土砂崩れや住宅損壊など甚大な被害が発生しました。インフラの復旧や今でも避難されている方々への対応に万全を期してまいる所存です。

さて、このブログでは、愛媛県南予地域、そして八幡浜市における地方創生の取組について紹介していきたいと思っています。今日は、「そもそも日本政府が進める地方創生とはどのような施策なのか」をご説明した後、「八幡浜市ってこんなところ」という概要をお話させていただきます。


【国の地方創生政策とは】
2014年9月、内閣官房に「まち・ひと・しごと創生総合本部」を設置し、初代地方創生担当大臣に石破茂氏が就任しました。

現在の地方創生の取組の契機の一つとなったのは、元総務相増田寛也氏が中心となって取りまとめた、通称「増田レポート」であると言われています。このレポートは、現在のペースで人口減少が進むと、全国約1700ある自治体の約半分(49.8%)が消滅の可能性があるいう衝撃的な内容で、全国的に大きな波紋を起こしました。

「人口減少」を重要な政策課題として正面から捉え、地域の活性化を通じて人口減少問題の解決を図ること、これが地方創生です。


【キーワードは「主体性」と「自立」】
地域活性化については、各地域の主体性を生かすような制度設計に努めています。北海道から沖縄まで、気候・環境・産業など、それぞれの地域が置かれている状況は千差万別であるため、国が画一的な政策を提案することは不可能です。それぞれの地域が、自らの状況・特性に応じた処方箋を「主体的に」描くことが重要であり、こうした取組を後方支援することが国の任務である、と整理しています。

また、地域の「自立性」を重要視しています。国や県などに過度に依存するのではなく、地域自らが稼ぎ、地域社会を運営していくことが、地方創生の本懐です。

硬い説明になってしまいましたが、要するに、「最近の地方は若い人が減ってしまって元気がない。なんとか街を賑やかにすることで、若い人や地域外の人が生活したいと思うようなまちづくりをしよう」ということです。


【地方創生人材支援制度により派遣】
国は、カネ(地方創生に関する新たな交付金)、情報(RESASという新しいデータソフト)、ヒト(地方創生人材支援制度)の「3つの矢」により、意欲のある地方を支援していく方針を打ち出しました。このうち、地方創生人材支援制度(通称「シティマネージャー」制度)は、国家公務員等を、原則人口5万人以下の自治体に2年間派遣し、首長の補佐役として地方創生に係る政策を推進させるという制度で、2015年に開始しました。小泉進次郎衆院議員が、東日本大震災後に、被災地に派遣され、活躍していた国家公務員を見て、全国的に制度化するよう提言したことがきっかけの一つのようです。

私は、この制度に基づき、2017年7月に財務省から八幡浜市役所に派遣されました。それまでは、財務省において法令審査・国会担当、国税調査や国際金融などを担当した後、2年間米国にて留学していました。当該制度を知り、地方創生の現場で汗をかきたいと思い、実際に派遣に至りました。

派遣されて1年2か月が経過し、残る任期は10か月となりました。これまで、市外との関係深化や、街が元気になるための基盤整備に努めてきましたので、今後このページにおいて紹介していきたいと思います。

 

八幡浜市の位置と概要】
八幡浜市について説明します。八幡浜市愛媛県の南西部(南予(なんよ)地域と言います)に位置します。北は瀬戸内海、西は宇和海(対岸は九州の大分県)に面し、海沿いの山にみかん畑が広がる日本有数のブランドみかんの産地です。みかんや漁業など当市の主幹となる第1次産業については、また詳しく説示したいと思います。

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八幡浜市の人口の現状と見通し】
人口は約3万4千人ですが、2045年には1万7千人を下回ると推計されています。あと25年ちょっとで、人口が52%減少するのです。街から人が半分いなくなると思うと恐ろしい気がします。要因としては、先ほども少し触れましたが、若い人(特に若い女性)の数が少ないことが挙げられます。人口対策の観点からは、若い人が戻ってきたくなる(Uターン)、非出身者も移住してみたくなる(Iターン)まちづくりが必要となってきます。


【結びに】
今日は初回ということもあり、概論的かつ抽象的な話になってしまいましたが、今後はなるべく具体的な取組を紹介していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。